アイヌであることを悩む若者たちについて
http://mainichi.jp/select/opinion/eye/news/20100211k0000m070105000c.html
まず、私個人は中国地方(奥出雲)の出身であり、北海道は旅行で行った程度であり、アイヌ民族の問題については全く接点が無いことを述べておく。
全くの想像で書いてしまうのだが、アイヌ民族が差別によって貧困に陥っているとは思えない。北海道の経済的な地盤沈下にアイヌ民族が巻き込まれているのだろうと思う。
08年の北海道大の調査では、アイヌの個人年収は「100万円以上200万円未満」が18.9%で最も多く、この層を含む300万円未満が70.1%を占めた。
北海道における平均年収が410万円という統計がある。*1これは札幌や千歳などの都市部を含む統計なので、実際にアイヌ民族の方々が居住されている地域での平均年収はもっと低いはず。だから、同じ地域で、和人とアイヌ民族の間に格差があるかを調査すべきであって、全国平均と比較しても意味がない。できれば、北海道でアイヌ居住地域と近い条件の地方自治体における平均年収を知りたいのだが、ちょっと検索した程度では出てこなかった。
地方の地盤沈下は日本全体で起きている現象であり、和人とアイヌ民族の格差ではなく、地方と東京の格差で考えるべきではないかと思う。だから私はアイヌ差別という現象そのものに懐疑的である。
一つだけ考えることがある。
アイヌという民族に帰属意識を持ち、アイヌらしい暮らしを続け、アイヌの文化を守りたいと考えたときに、どうしても生まれ育った地を離れがたいという現象は起こるであろう。その「生まれ育った地」は、北海道であり、しかも大規模農業には向かない中山間地である。アイヌであろうとすることは、必然として地盤沈下を続ける地方経済と命運を共にすることを意味する。
これが日本人(和人)であれば*2、東京だろうが沖縄だろうが北海道だろうが、「日本人らしい暮らし」というのは地方差はあるが何処でも出来る。*3
まあこれは、世界中の少数民族が同じような問題を抱えているのかもしれないが。