ネット上の高専生のイメージがgeekに偏り過ぎていると思う

知ってるか?
高専生は3つに分けられる
趣味を追求する奴
リア充を満喫する奴
空気を読む奴
この3つだ
あいつは―

さておき。

高専はすごいかも知れないが行くのは止めておいたほうがいい - 下林明正のブログ

上記のブログについて、「特殊な例」「レアケース」というコメントを見かけましたが、元高専生の実感としては決してレアケースじゃないと思います。ネット上での高専像って「geekの巣窟」的な扱いをうけることが多いんですが、実際はそれだけじゃないぞというのを書いておこうと思います。ただ、私は機械工学科の卒業生なので情報系の学科ではまた話が違うかもしれません。それに私が高先生だったのは15年くらい前のことなので今は違うことも多いと思います。あくまで私の経験や他校の卒業生との交流の中で「こうだった」という経験に基づく話です。


高いドロップ率
高専の退学率は一般高校と比較して高いことはよく知られていると思います。一般の高校の退学率が2%前後なのに対し、高専生の退学率は1割を超えます。また留年経験率も3割前後と言われます。高専に適応できずドロップアウトする学生は決して少なくありません。
ストレートに卒業する学生は6割強しか居ないことは進路を選ぶ前によく考えておくことです。
なお、高専の3年を修了していれば、学歴上は高卒扱いになります。


カリキュラム
専門分野については文句なしに良いです。独学や大学でも学べるという人も居ますが、高専は工場や実験室の設備を使って実際に手を動かして学ぶ機会が多いのがメリットです。大学は座学に偏重しているように思いますし、独学では設備を揃えるのが困難です*1
一方、一般教科は「とりあえずやっておく」以上のものではありません。1〜2年次はまだしも高学年になるに従って文系の一般教科は講師の趣味でやってるような授業がふえていきます。国語で「ドストエフスキーを1年かけて読破し、レポートを書け」とか、日本史で「半年かけて邪馬台国の位置について考察しレポートを書いたと思ったら、残り半年で明治維新までやっつける」とか。


高専生はgeekリア充
高専は、大学と同じく高等教育機関である*2ため、学生の自主性を尊重するという大義名分があります。よって生活指導にはあまり熱心ではありません。茶髪やピアス、改造制服*3も放任されます。免許を取れば自動二輪での通学も可能です。
よって、高専生には「リア充」とか「ヤンキー」と呼ばれるタイプの学生が多いです。「geek/オタク」系の学生と「リア充/ヤンキー」系の学生はだいたい半々かヤンキー系がちょっと多いくらいです。


優等生は高専を選ばない
中学で一番勉強のできる生徒は、地域の進学校を選びます。偏差値で比較しても高専進学校よりは下です*4。なので高専に入るのは理系一点突破系の人か、クラスで上の下くらいの成績の人になります。


イジメは風物詩
これはまあ高専に限った話でも無いかもしれませんが、毎年のように1年生でイジメが発生します。バラバラの中学から集まる中房上がりを一纏めにクラスに放り込むので仕方ないのかもしれません。たいていはすぐに解消されますが、卒業までクラス替えもないので「イジメがあった」という事実はクラスの人間関係に一定のシコリをのこします。


リア充でもgeekでもない人たち
少数派ですが高専生にはリア充でもgeekでも無い人種もいます。「偏差値でなんとなく選んだら高専だった」みたいな人で大抵は高専に入ったことを後悔している人種です。
大抵は高専内の運動部に居場所を見出し、スポーツに打ち込むことで自分の中の辻褄を合わせるようです。
稀に、ガッツのある人が3年で自主退学して大学入試をします。


こんなところでしょうか。私が進路相談を受けるとしたら「向き不向きがある」としか答えようがないのが正直なところです。蛇足ですが妹が高専に進学するときに私に全く相談してくれなかったのは寂しかったです。

*1:このへん、IT系だと最近は自力で何とかなってしまうので事情は違うかもしれませんが

*2:高校は中等教育機関

*3:制服着用は3年まで、4年次から私服可

*4:団塊より上の世代の感覚では、高専進学校以上のエリート集団なので、高専の実態をしらないお年寄りには「高専!へー頭いいんだねぇ」と言われると申し訳ない気持ちになります