ラノベの単純コミカライズは筋が悪いについて

http://oresen.sakura.ne.jp/2010/01/24/01240400/

もちろんシャナやレールガンは単巻で40万程度の売り上げを叩き出した人気作品だ、という指摘は正しいのですが、「じゃアスラクライン何万部よ」とか、「よつばと! はオリジナルでメディアミックス無しで70万部超だよね」という点を鑑みるに、ぶっちゃけ重要なのは総合的な知名度であって「ラノベ原作」の効果じゃないよね、と思われるのですね。

はてブでも書いたのだけど『売れてるライトノベル(少なくとも単刊で20万部以上)のコミカライズは売れるが、単刊で10万部未満のライトノベルだとコミカライズしても売れない』ということなんじゃないかな?
いま、電撃大王で連載してるライトノベル原作は5つあるけどコミックが売れてるのが「灼眼のシャナ」「とある科学の超電磁砲」「とらドラ!」、それほど売れて無さそうなのが「アスラクライン」「我が家のお稲荷さま。」という感じ。これはそのまま先ほどの法則に当てはまる。
他紙に目を向けてみても、コミカライズで(少なくとも10万部以上)売れている作品となると「涼宮ハルヒ「紅」狼と香辛料」あたりじゃないかな。あんまり電撃以外は詳しくないのだけど。


結局のところ、ライトノベル原作のコミックは原作を読んでいない人間にはほとんど買われていないのが実情なんじゃないかなぁ。元々、ライトノベルを読む客層と、オタ系のコミックを読む客層はほとんどかぶってるだろうし。
だから、大ヒットしてる原作ならコミカライズして十分に元が取れる。一方、中堅どころの原作をコミカライズしても10万部を超えるようなヒット作にはなり得ない。
ついでに言えば、漫画版「涼宮ハルヒの憂鬱」が実証したのは『原作に十分な人気が有れば、漫画版の質は無関係に売れてしまう』ということだろう。この反対の例、『埋もれた名作を質の高いコミカライズで大ヒットに』というのは見たことがない。


で、何が言いたいかというと、『ここ数年の電撃のメディア展開というのは、メディアワークスが設立以降蓄積してきた優良原作の焼き畑商法だったのではないか』『単刊で20万部を超えるような小説を使い果たしてしまったから、方針転換を余儀なくされてるんじゃないか』の二点。かつて多摩坂氏が主張していたようなコミカライズで10万部の売上げが見込めるような原作は電撃文庫にはもう無いだろう。
まあ、きちんと売り上げデータを見てるわけじゃないから的外れかもしれないけど。