高専ロボコンの問題点

ロボコンとMake Tokyo: マツドサイエンティスト・研究日誌

ただ、全体的に教育色が強くなりすぎて、おもしろく無くなっているのか??

おっしゃるとおり、高専ロボコンのロボットは全体にNHK色の強い「お堅い」イメージが強いです。なぜ、そうなってしまうのか。個人的には、高専ロボコン独特の選抜システムが理由だと思っています。
ご存じの方も多いとは思いますが、高専ロボコンの各校代表2チームは書類選考のみによって行われます。これは、まず各校内でアイデアを募り、その中から4チームを選出します。その4チームのアイデアNHKに送り、NHKが2チームを選びます。実際のロボット制作に着手できるのは、このNHKによって選ばれた2チームだけです。
「アイデア対決」という企画の趣旨と、ロボット制作の費用という現実面を考えれば仕方のない部分もあるでしょうが、アイデア倒れに終わるチームも多く、本来技術力のあるチームが落選してしまうことも多い等、問題もあります。実際、地方大会の1回戦ともなれば、スタート地点から動けなかったり、まともに課題をクリアできないようなロボットばかりで試合がほとんど成立していない状態で判定勝負になることもよくあります。
また、参加するチーム側も、単純に試合に勝つだけを考えてアイデアを出すのではなく、いかに「NHK受け」をするかという部分を考えざるを得ないという問題もあります。これはひとつには学内代表に選抜されるためですが、もう一つ、地方大会で優勝できなくても審査員の推薦枠に選ばれれば全国大会へ進めるためでもあります。
最近は、競技ルールも単純にスピードや得点を競うのではなく、何らかのギミックを仕込むことを前提に「踊れ」「太鼓を叩け」といった部分が盛り込まれることも多いため、なおさらそういったギミックは「NHK受け」を意識せざるを得ません。
結果として、どうしても教育的でつまらない…そういうロボットになりがちです。ただ、アイデア次第で全国大会出場の機会が与えられるため、技術的・体制的にロボコンに弱い高専への救済措置となっていますし、NHKが主催する教育目的の大会である以上はある程度仕方が無いとも思っていますが。